猫の爪切りの必要性や切り方、嫌がる場合の対処法について解説

猫にとって爪は、獲物を狩るための頼りになる武器でもあります。そのため、飼い主さんの中には本当に愛猫の爪を切る必要があるのか、疑問に感じているという方もいるのではでしょうか。

本ページでは猫の爪の構造を踏まえたうえで、爪切りの必要性や切り方、頻度、禁止事項、嫌がる場合の対処法などについてを解説していきます。

 


猫の爪の構造

猫は爪を出し入れすることができる動物で、リラックスしている時は爪が靭帯の引っ張る力(張力)によって隠されていますが、緊張状態になると腱も緊張して飛び出す仕組みになっています。猫がこのように爪を自由自在に出し入れできるのは、第3指骨の骨膜と繋がっていて末節骨(まっせつこつ)が回転するためです。

また、猫の爪は人間とは違って外側と内側の二重構造になっているのも特徴で、爪の表皮は角質化(表皮の細胞にケラチンが沈着して硬くなること)しています。猫が爪とぎをする理由は自分のニオイを付けるマーキング以外に、古くなった外側の爪を剥がすことで鋭い爪を保とうとするためだとも言われています。

一方、爪の内側(先端ではない部分)はクイックと呼ばれ血管や神経が通っているので、この部分を誤って切ってしまうと出血が見られたり、猫に痛みを感じさせたりしてしまうので注意が必要です。

 

猫の爪切りは必要なの?

猫を完全室内飼いしている場合は、爪切りをすることで事故防止に繋がることがあります。例えば、爪切りをしていないとカーテンなどに爪が引っ掛かってしまったり、小さなお子さんや来客に怪我をさせてしまったりすることも考えられるでしょう。爪切りを小まめにしておくことでそうした事態が起こる可能性を軽減できるほか、家具や柱などへの被害を最小限に食い止めることもできます。

しかし、外で飼っていたり家から外に出歩けるようにしている猫の場合は、爪を切ってしまうと木に登れなくなったり身に危険が迫ったときに武器として使うことができず、逆に事故を招いてしまう危険性があります。また、そのこと自体が猫にとってのストレスになり得ます。

 

猫の爪を切る理想的な頻度は?

爪切りは2週間に1回程度、爪の状態をチェックして先端が尖っていたら行うようにしましょう。
後ろ足の爪は前足ほど先端が尖らないので、特に前足の爪をしっかりとチェックすることが大切です。

 

猫の爪切りの仕方

猫が爪切りにあまり慣れていない場合は、まず2人がかりで行うのがおすすめです。

<2人がかりで爪を切る場合>
1. 片方の人間が猫の手を持ちながらしっかりと押さえる(猫の背中を人間のお腹にくっつけるように座らせるのがポイント)
2. もう片方の人間が肉球を軽く押して爪の先端を切る

<1人で爪を切る場合>
1. 猫の背中が自分のお腹にくっつくように座らせる
2. 後ろから猫の手を持ち肉球を軽く押す
3. 爪の先端を切る

ペットショップや動物病院などでは爪を短く切られることが多いと思いますが、自宅で猫の爪を切る場合は先端を少し切るだけでもよいでしょう。

爪を短く切ることよりも大切なのは、血管や神経が通っているクイック部分を誤って切ってしまわないことです。クイック部分を切ってしまうと痛みを感じた猫は爪切りにトラウマを持ってしまい、余計に爪切りをさせてくれなくなってしまいます。

また、爪切りを終えた後は大好物のオヤツをあげるのもおすすめです。我慢をすれば良いことが起こるということを猫に学んでもらえば、爪切りをしやすくなる可能性があります。

 

爪切りを嫌がる場合の対処法

猫が爪を切るのを嫌がる場合にはいくつかの対処法がありますが、猫ちゃんとの相性もありますので、どの方法が愛猫に合うのか試してみると良いでしょう。

<数回に分けて切る>
猫の中には爪切り自体はできるけれど、一度に全部の爪を切らせてくれない子もいます。このような場合には急いで一気に爪切りを終わらせようとするのではなく、数回に分けながら爪切りを行ってみるとよいでしょう。逆に爪切りをあまり嫌がらない子の場合は、一気に切ってしまったほうが上手くいくことも多いです。

<寝ている間にこっそり切る>
大人しく爪切りをさせてくれない場合は、寝ている隙にこっそり行うのも一つの手です。この場合も一度にすべての爪を切ることは難しいため、根気や時間がかかるのを覚悟して行いましょう。また、猫は睡眠を邪魔されたことに対してストレスを抱えてしまったり、爪切りが嫌で安心して眠れなくなってしまったりすることもあるので、気づかれないようにこっそりと切ることが重要です。

<洗濯ネットに入れて切る>
洗濯ネットに入れると大人しくなる猫は意外に多いものです。そのため、暴れて爪切りができない場合は網目の荒い洗濯ネットを用意しておき、網目の隙間から爪を出して切るのもよいでしょう。この方法であれば、飼い主さんが怪我をするリスクを低減しながら爪を切ることができます。

<ハサミを見せないようにしながら切る>
猫の目に見える位置で爪切りをしている場合は、猫の視界に入らないように爪切りをしてみましょう。猫の爪には大切な血管や神経が通っているので、ハサミを見ると本能的にひるんでしまう猫もいます。しかし、見えないように爪切りを行えば猫が感じる恐怖心を減らしてあげることができ、スムーズに爪切りを行える場合があります。爪切り用のマスクも市販されてますが、視界が完全に遮られてしまうものだと猫によっては余計にパニック状態になってしまう子もいるので慎重に選ぶようにしましょう。

 

猫の爪抜きについて

アメリカなどの海外では爪とぎによる家具や柱への被害を食い止めることを目的に、猫の爪抜き手術(抜爪術、除爪、ディクロー)をする人もいます。

しかし、爪抜きは人間でいうと第一関節から指を切り落とすようなもので、猫に強い痛みやストレスを感じさせてしまう可能性が高いと言われています。実際に、海外では爪抜きを行ったことが原因でその後、猫砂を掻けなくなったり粗相問題が現れたりするケースも報告されています。

日本では爪抜きという手術自体ポピュラーなものではありませんが、もし何らかの問題があって検討されている方がいるのであれば、他に解決策がないか専門家の意見などを取り入れながら、動物愛護の観点からも充分に考慮されるほうがよいでしょう。

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