お化け屋敷のアイドルに意外な悩みが…?お洒落な妖怪姉妹の物語「ろくろっくびのばけねこしまい」
ろくろ首と化け猫の妖怪姉妹を描いた絵本「ろくろっくびのばけねこしまい」が先月出版されました。
ろくろっ首は江戸時代の怪談や妖怪画などに登場する日本の妖怪で、首が抜けて頭が飛行するタイプと首が長く伸びるタイプの2種類あります。特に首が伸びるタイプのろくろ首は、お化け屋敷などでも見かけることがありますよね。
本書はそんな「ろくろ首」と「化け猫」が合体した6匹の妖怪姉妹を描いた絵本。と言っても子供向けの絵本なので全然怖いお話ではなく、登場するろくろ首はみなオシャレが大好きな今時の女の子。
ろくろ首ならではの悩みなども描かれている、ちょっぴりコミカルなストーリーで楽しく読み進めることができます。
<あらすじ>
あたしたち、おばけやしきのアイドルなの!
ろくろっくびのばけねこしまい。6ぴきでおなじいえにすんでるから、毎日くびがもつれてたいへん!
おしゃれだいすき姉妹のたのしみは、ネットでおかいもの。
きょうもすてきな衣装でステージにたち、満員御礼だいはくしゅをいただきます。
ろくろ首の姉妹たちはオフの時間もみんなで仲良く過ごします。水着にサングラスとオシャレに余念がなく、お気に入りのアイテムはスマホで見つけて購入する今時のライフスタイルです。
本書の著者は作家の二宮由紀子さん。京都大学在学中に第1回星新一ショートショートコンテストで入選し、デビュー。自由な発想と独特のユーモア感覚で言葉をつむぎ、子供向けの本を多数発表。「ハリネズミのプルプル」シリーズで第30回赤い鳥文学賞、「ものすごくおおきなプリンのうえで」で第16回日本絵本賞大賞などを受賞しています。
一方、可愛らしいろくろ首のイラストを手掛けたのは絵本作家の荒戸里也子さん。「おいぬさま」の作品で第2回MOE絵本グランプリを獲得し、絵本作家デビュー。和物、妖怪、ネコが得意分野で、鮮やかな色づかいと緻密な描き込みによって独特の世界感を表現する作風が特徴的です。
そんな荒戸さんが描く色鮮やかな着物は一見するとレトロですが、よく見ると色使いや帯留めなどの小物がとても現代的。
今時のオシャレな女の子という感じがしますね。また、衣装や顔立ちから姉妹それぞれの性格を発見できるのも本書の面白さのひとつです。
小さなお子さんに読み聞かせてあげると喜ばれそうですね。
(C) Bronze Publishing Inc.