溺愛されならがも不満を募らせる猫ちゃんの物語「ぺちゃんこ ねこ」

飼い主さんに溺愛されながらも、不満を募らせて押しつぶされてしまう猫ちゃんの姿を描いた絵本「ぺちゃんこ ねこ」が2018年9月8日に刊行されました。

ハーウィン・オラム氏の絵本「ぺちゃんこ ねこ」ぺちゃんこ ねこ

本書は都会の高層ビルの天辺にある一室で、ご飯やベッド、ブランケット、首輪、おしゃれな服、たくさんの玩具など、最高のものを与えられて可愛がられている猫の「ジミー」のお話し。

猫のジミーが暮らす高層ビル by 「ぺちゃんこ ねこ」中面ジミーが暮らす都会のビル

誰もが羨むような完璧な暮らしをしているかのように見える一方で、「外にでることができない」ことからジミーは満たされない思いを感じ始めます。

不満を募らせていく猫のジミー by 「ぺちゃんこ ねこ」中面何でも最高のものを与えられるジミー

何時間も、何日も、外を眺めているうちにジミーの気分は、どんどんぺちゃんこになっていき、まるで自分がぺちゃんこになってしまったような気がしてきました。そんな気分が繰り返されると、やがて不思議なことが起こります。

なんとジミーの見た目も、紙みたいに薄くペラペラで、ぺちゃんこな姿になってしまったのです。

ぺちゃんこになってしまった猫のジミー by 「ぺちゃんこ ねこ」中面ニャンと体までぺちゃんこに・・・

ぺちゃんこなってしまったジミーはある日、飼い主さんが忘れていった鍵を見つけて家のドアを開け、ついに外に飛び出してしまいます。

初めて外の世界に出たジミーが出会ったものとは…?


一見、何不自由ない環境で飼われているかのように見える猫の押しつぶされそうな気持ちと、外の世界へ出たときの弾けるような喜びが同時に描かれたストーリーは、現代の子供を取り巻く環境にも通じるテーマを内包。

我が子にたくさんのモノを与えることで窮屈な思いをさせていないか、大切に庇護するあまり子どもの自由を制限してはいないか、人間の暮らしに置き換えて考えることもできる深いテーマを描いています。

本書の著者は、イギリス・ロンドン在住の世界的に著名な児童文学作家ハーウィン・オラム(Hiawyn Oram)氏。子ども向けの本の執筆をはじめ、子ども向けテレビ番組の制作にも携わっているほか、地球を滅ぼすほどの男の子の怒りを描いた絵本「ぼくはおこった(評論社)」がイギリスでマザーグース賞を、日本では絵本にっぽん賞特別賞を受賞。

「アナグマのもちよりパーティ(評論社)」や「おてんば魔女」シリーズ(ポプラ社)など、邦訳も数多く刊行されています。

書名:ぺちゃんこ ねこ
作者:ハーウィン・オラム
挿絵:グウェン・ミルワード
翻訳:ひがしかずこ
定価:1,400円(税抜)
判型:A4変型判/32頁/ハードカバー
対象:3・4歳から
発売:2018年9月8日

(C) Iwasaki Shoten

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