もしも飼い猫が人間になったら…?猫と過ごす夢のような一日を描いた児童書「ねこのふくびき」
昔は番犬やネズミ捕りとして飼われていた犬や猫も、今では室内で飼育するのが主流となり、家族の一員として考えられるようになった大切な存在。
一緒に過ごす時間が長くなればなるほど愛情が深まっていく一方で、人間のように思いを伝え合うことはできないことから、「一度でいいからペットと話をしてみたい」と子供ながらに思ったことがある人も多いのでは。
そんな幼少期に抱きがちな夢や願望を描いたのが「ねこのふくびき」という書籍。
主人公の「みゆ」は、「ルーク」という猫を飼っている小学一年生の女の子。
ある朝、学校へ行く途中に知らない男の子から声を掛けられ、話を聞いてみると、なんとその男の子は人間の姿になった飼い猫の「ルーク」だというのです。
見た目はふわふわのグレーの髪の毛に、青い目、とがった八重歯、片方だけしましまの靴下など、よく見ると確かに猫のルークに似た容姿をしています。
しかし、いったいどうして飼い猫が人間の姿になってしまったのか。男の子になった「ルーク」のポケットには「ねこのふくびきけん」が入っていて、そこには一等賞として、ペットが1日人間になれる「ねこのきゅうか」が当たったと書かれています。
その後、学校の校門へとたどり着いたものの、生徒でない「ルーク」をどうやって教室まで連れて行ったら良いのか分からず戸惑っていた「みゆ」。
するとそこへ校長先生が現れ、「ルーク」の姿を見るとすぐに一日学校見学にやってきた子供であることに気づくなど、どうやら中には入れそうな様子。
果たして「みゆ」と、人間の男の子になった「ルーク」は、学校でどんな1日を過ごすのか。
漢字にはすべて振り仮名が振ってあり、テンポよく話が進んでいく構成になっているため、絵本を卒業してひとり読みを始めた子や、読書がちょっぴり苦手な子にも読みやすい本書。
子供の夢が現実になったような楽しいストーリーで、読んだあとに心がほっこり温かくなる一冊となっています。
作:木内南緒
大阪府生まれ、愛媛県松山市在住。立命館大学法科大学院修了。第35回福島正実記念SF童話賞大賞受賞作の『AIロボット、ひと月貸します!』(絵・丸山ゆき/岩崎書店)でデビュー。同作品で第36回愛媛出版文化賞を受賞。
絵:よしむらめぐ
大阪生まれ、三重育ち。大手前女子大学(現・大手前大学)卒業。元美術教員。『まめざらちゃん』(文・あさのますみ/白泉社)で第7回MOE創作絵本グランプリを受賞。絵本に「角野栄子のアコちゃん絵本」シリーズ(小学館)など、挿絵に「9分読み切り 妖怪奇談 今昔百鬼夜行」シリーズ(教育画劇)がある。
<参考>
・猫を探して迷い込んだお屋敷のヒミツとは…?最後にはホッとできる怖い絵本「ばけねこ」
・家出した猫はどこに行くのか?謎に包まれた空白の時間を描いた絵本「なぁなぁ、あそぼ!〜」
・ねことプレゼント探しの旅に出かけよう!全編リトグラフで描いた絵本「ふしぎなニャーチカ」
(C) Iwasaki Shoten.