マリメッコの内装を手掛けるデザイン事務所が設計、猫を愛でるための家具「medel(メデル)」
今や人も猫も高齢化の時代。ずっと仲良く暮らしていくためには互いの快適性に配慮した環境づくりが大切ですが、部屋の中で猫だけのために使えるスペースは限られることから、最近は人と猫それぞれにとって実用的な機能を持たせた家具なども発売されるようになってきました。
そんな中、猫を愛でることを目的に開発されたのが「medel(メデル)」という猫家具。
猫用の家具としては一風変わった形状をしていますが、最もこだわっているのは高さが90cmに設計された天板の位置。
飼い猫と触れ合おうと思った時に、猫が床に座っていたら人間はしゃがまなくてはならいし、逆に高いところにいれば背伸びをしたり降りてくるのを待っていなければなりません。
しかし、人間も猫も年齢を重ねると体力が低下していくことから、できればお互いの体にあまり負担を掛けず、日常の自然な動きの流れの中でコミュニケーションを取れるのが望ましいと言えます。
メデルの設計元によると、90cmというのは人間が立っている時に猫とコミュニケーションをとる(=愛でる)のに最適で、近くを通りがかると自然に手が伸びてしまう高さになっている一方で、猫にとっても室内や座っている人間を見渡すのに適度な高さになっているほか、逆に高くし過ぎないことで猫が落下した時の危険性も低減。
人と猫、どちらにとっても居心地の良さを追求した結果たどり着いた高さなのだとか。
見た目は幾何学的な形を組合せた独特なフォルムで、形状のアクセントになっている部分は猫が上がっていくためのステップの役割を果たしたりと、機能的なものを形に置き換えたデザインを採用。
猫が天板に乗って一体となった姿はまるで彫刻のようで、空間に佇むアート性も追求した作りとなっています。
デザインを担当したのは「マリメッコ」「LAPUAN KANKURIT」「IL BISONTE」など、人気ブランドの店舗設計をはじめ、商業空間のインテリアデザインや建築設計を国内外で手がけるデザインユニット「設計事務所ima」。
愛猫家のデザイナー夫婦で活動する同事務所は、東日本大震災をきっかけに参加した保護動物のボランティア活動を通して、年老いた預かり動物は里親がなかなか見つからないことを実感。長生きする人や動物がコミュニケーションをとる秘訣を模索していく中で猫家具「medel(メデル)」が生まれたといいます。
製造を担当したのは、岐阜・飛騨高山で100年の歴史を持つ木工家具メーカー「飛驒産業」。
森からの恵みである木材を余すことなく使うため、家具用材の規格としては小さなサイズの国産クリ材を集成して製作しており、長年培われてきた飛驒産業の木工技術を受け継ぐ職人の手によって一点一点手作りされています。
基本は猫家具として開発された製品であるものの、木の質感が良く空間の中にアクセントして浮かび上がってくるような存在感があるため、さまざまな用途で活用することが可能。
ソファの隣に置けば棚板がサイドテーブル代わりになるため、本や花瓶などを置けば日々の暮らしに馴染むインテリアとしても使うことができます。
この猫家具は11月15日よりメデルの公式オンラインストア(neko-medel.jp)にて受注販売を開始。収益の一部は捨てられた動物を保護し、新しい里親を見つける活動を行う動物愛護団体へ寄付されます。
寸法:46cm × 60cm × 90cm
重さ:18.2kg
価格:187,000円
素材:国産クリ材、ポリウレタン樹脂塗装
製造:飛驒産業株式会社
<参考>
・猫が中に入ると秘密の隠れ家に!ディノスから人も猫も使えるテレビ台とミニテーブルが登場
・自宅の壁をネコの遊び場にできる!磁石の力でくっつく猫壁(にゃんぺき)が一般販売を開
・猫と人が心地よく暮らすインテリア実例、15軒を収録した書籍『猫のいる暮らし、猫のいる部屋』
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